はじめに

独学でAccessを業務に応用してきた者として、また、多くの社員に教えてきた者として、Accessの本の紹介にはいつも悩んできました。一般的な初歩の書物は、住所録作成のチュートリアルの様なものが多く、Accessの機能の基礎は抑えてあるものの、業務での活用には直結しにくいと感じていました。その理由は以下の様なものだと思っています。

既存データの加工の自動化による効率化を目指しているが、すでにあるデータをどうコントロールし、活用するかのヒントは少ない。 同様に、実際の業務上で効率化のメリットを出すには、技術的に単純ではないクエリ構築が絡むケースがほとんどである反面、包括的にそのような目的で書かれた書物は少ない。

例えば、刻々と変化するデータを扱おうとすれば、データベースからのリンクやCSVを経由した1クリック更新などが有益ですが、そういったITチックな話が基礎編といわれるものには、出てくることはありません。また、人事データなのか、ファイナンスデータなのか、eコマースのデータなのかによって、自動化・効率化したい雰囲気は違ってくるため、どのテーマでデータ加工の学習するかで、学習の取っ掛かりや習得効率は変わると考えます。 この様な理由から、本来は、日々活用しているデータ/データベースを題材として、効率化したい箇所をコンサルしながらそのスキルを覚えるのが最もモチベーションが保て、スキル習得が早いのだと思います。私の人事における業務において、最も活用して効果があるのが、Accessによる自動化で、かつ、多くの方に教えてきたスタイルも、各々の人事部の中で実際に活用しているデータを使ったAccessのトレーニングでした。業務上の効果を出すという意味では優位性が高いのに、これまでなかなか紹介できなかったのは、こういった個別事情をどうやって表現するのかというハードルがあったためです。 そのような紹介しにくい背景があるものの、人事データという特質には、共通点も多くあります。これまで海外・国内の多くの人事システムに携わってきましたが、そのデータの構成は、かなり共通点があり、自動化プロセス上のクエリ演算もパターン化できるものが多くあります。そのため、本書では汎用的な人事データベース持つテーブル構成に近い題材を用意し、そこから良くある自動化のためのスキルを階段式に習得していく構成としました。本書のサンプルデータを、皆さんがお使いの人事システムから取り出したデータに代替えして読み進めたとしても、ある程度は、進めることができると思っています。 全体的には組織別・社歴別の人数表を1クリックで更新する方法を順を追って解説していく構成にしています。また、巻末には「解決テクニック集」として、複数人でデータを共有する方法や、実際に問題が出やすく、解決方法に一工夫いるものとして、「いつだって社内姓を表示する方法」「昇進人数・昇進率を出す方法」「36協定の特別条項適用回数を出す方法」「週40時間超過の時間外を計算する方法」などを掲載しました。 前作まで同様、本書は、実際に人事等の業務に携わる方、そのマネジャーが、自身の業務を自ら効率化することを目的としています。サンプル等のリンクも記載をしていますが、動作の保証はございません。反面、個々のデータの違いや、システムの制約によるつまづき、目の前の繰り返し作業の自動化の解にどうしてもたどり着かないといった相談については、できる限りフォローをしたいと考えています(問い合わせ先:e-mail:felix@felix-labo.org , SkypeID:felix-labo)。 本書を通じて、単にルーチン業務分担を振り合うだけの意味のないやりとりから抜け出し、自分のキャリア形成にとって有意義な力を得られることを期待しています。